日本聴力保護具研究会

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日本聴力保護研究会〈Q&A〉 よくある質問

ユーザー様からいただくお問い合わせのなかでよくあるご質問をご覧いただけます。

聴覚保護具はどの位効果がありますか?
また、SNR値が20dBの耳栓を装着した場合の遮音効果の推定方法を教えてください。

聴覚保護具は、正しく装着することにより、所定の性能を発揮することが出来ます。

遮音値とは文字通り音をさえぎる能力を示す数値で、JISで遮音値の測定方法が規定されております。一般に、物体が音をさえぎる現象では、周波数の高い音すなわち波長の短い音ほどよくさえぎるという性質があり、耳栓や耳覆いでも低い周波数域(波長の長い範囲)では遮音は小さく、ある周波数を超えるとよく音をさえぎるようになります。

このように耳栓や耳覆いの遮音値は音の周波数(波長)によって異なりますので、「何Hzでは何dB」というように周波数との組み合わせにて表現されます。
また、聴覚保護具の遮音性能表にはSNR値・HML値・NRR値が示されているものもあります。SNR値・HML値は、JISで規定する遮音効果の推定値です。

聴覚保護具に、SNR値が20dBと表示されている場合は、この聴覚保護具を正しく着用したときに統計的に約84%の人がこの数値以上の遮音効果が得られるというものです。

例えば、騒音環境90dBの作業場の場合で、遮音性能が20dBの耳栓を装着した場合は、 90 - 20 = 70 dBといったようになります。

聴覚保護具を有効に活用いただけば、作業環境の騒音から聴力を保護することが出来ます。

聴覚保護具の使用前点検としてやらなければいけないことは何ですか。

規格に基づいた方法で測定を行った遮音値を元に、騒音レベルに応じて聴覚保護具を選び、使用することは、騒音から聴力を保護することになります。騒音レベルに応じた製品を選定しているかを確認することを含めて使用前点検があります。使用前点検でチェックする主な項目を次に示します。

(1)耳栓
・汚れがないか
・形くずれしていないか
(2)イヤーマフ(耳覆い)
・カップの汚れ、はがれがないか
・スプリングの変形、機能の劣化がないか
聴覚保護具の正しい装着方法を教えて下さい。
(1)耳栓
・成形型

耳栓を装着する耳の反対側の手を頭の後方から回し、耳介を後上方にひっぱり上げて外耳道を真っすぐにした状態で耳栓を挿入します。耳栓を挿入する際は、手は必ず清潔にしておきましょう。

・発泡型(フォームタイプ)

指で耳栓を細く丸めて、耳栓を装着する耳の反対側の手を頭の後方から回し、耳介を後上方にひっぱり上げて耳栓を入れやすくした状態で耳栓を挿入します。耳栓が膨らむまで指先で耳栓を押さえておきます。耳栓を挿入する際は、手は必ず清潔にしておきましょう。

耳栓の挿入方法

1、外耳道は一般に上図のように曲がっています。

2、耳栓を挿入する場合には、例えば右耳に挿入する時は、右手で耳栓の端を持ち、左手を頭上から回して、耳たぶの上部をつまみます。

3、左手でつまんだ耳たぶを軽く上へ引き上げます。外耳道に入れやすくなりますので、耳栓をねじ込むようにして挿入します。

4、上図は耳栓がきちんと挿入された状態です。

(2)イヤーマフ(耳覆い)
・ヘッドバンドタイプ  

頭頂部のバンドをかけ、カップリングが耳全体を覆う正しい位置にくるようにスプリングを調整します。

・ネックバンドタイプ  

ネックバンドが首後位置になるようにしながら、カップ部分が耳を完全に覆うように着けます。ヘッドスラップがあるものは、カップが完全に耳を覆うように長さを調節します。

・保護帽装着タイプ  

保護帽にイヤーマフ(耳覆い)を取り付け、スプリング部の長さを調整します。

聴覚保護具の使用時にやってはいけないことは何ですか。
(1)耳栓の洗濯、再使用  

発泡型(フォームタイプ)は、原則、洗って再使用できません。このタイプの耳栓は使い捨てですので、使用の都度新しいものと取替えましょう。(※再利用できるものもあります。取扱説明書を確認下さい。)

使いすぎて固くなったようなものは音を遮る効果が著しく低下するので、新しいものに取替えなければいけません。


(2)不完全な挿入

耳栓を挿入する際、中途半端な挿入では騒音が漏れこむことになり、十分な遮音値が得られず、長い間には聴力障害を起こすことも考えられます。騒音を遮断するためには正しい装着の方法で挿入する必要があります。

耳栓が正しく装着されているか確認する方法の1つとして、遮音効果を測定する機器(写真1、2)を用いる方法があります。写真1の機器は耳栓装着前と装着後の差を遮音効果として数値で表示するものです。写真2の機器は耳栓装着時の個人遮音値を数値で表示するものです。

写真1  耳栓の遮音効果測定器
写真2  遮音性能測定器
(3)外耳道炎患者の耳栓使用               

外耳道に炎症がある場合、耳栓の使用はできません。外耳道に炎症があるときはイヤーマフ(耳覆い)を使用して下さい。

国際規格との関係性を教えてください。

JIS T8161-1,2はそれぞれISO 4869-1:2018およびISO 4869-2:2018を基にして作成されています。

近年は、グローバリゼーションの進展に伴う国際的整合性を重視する方向にあります。1995年にWTOが加盟国全てに適用される一括協定としてTBT協定をWTO協定に包含したため、その加盟国である我が国も国内規格は国際規格を基礎として作成することになっています。

JISによる聴覚保護具着用時の実効A特性重み付け音圧レベルの推定方法を教えてください。
(1)オクターブバンド法

測定した周波数毎の音圧レベルより、聴覚保護具の周波数毎の想定保護値を減じます。
計算により求められた値を用い、JIS T 8161-2:2020に記載されている計算方法により、実効A特性重み付け音圧レベルを推定します。

(2)HML法

JIS T 8161-2:2020に記載されている計算方法により、予測騒音レベル低減PNRxを求めます。
A特性重み付け音圧レベル(A特性にて測定した現場の音圧レベル)から、計算により求められた予測騒音レベルPNRxを減じ、実効A特性重み付け音圧レベルを推定します。

(3)SNR法

C特性重みづけ音圧レベル(C特性にて測定した現場の音圧レベル)から、SNR値を減じ、実効A特性重み付け音圧レベルを推定します。

(4)NRR値を用いた着用時の実効A特性重みづけ音圧レベルの推定

NRRは、米国EPA(Environmental Protection Agency)の40CFR Part211 Subpart Bに示される遮音性能です。C特性およびA特性重み付け音圧レベルを用いる方法と、A特性重み付け音圧レベルのみを用いて計算を行う方法があります。


SNR値とNRR値の違いは何ですか。

聴覚保護具装着時の外耳道音圧レベルの推定に使用される聴覚保護具の単一の遮音値です。SNR値はJIS、EN、ISO規格による値です。この単一の遮音性能を推定するには、平均遮音値―(確率変数x標準偏差)により算出します。NRR値は米国のANSI、EPAによる値です。

SNR値は通常の場合は確率変数1による統計的に84%、NRR値は確率変数2による統計的には98%の人がこの値以上の遮音値が得られます。