日本呼吸用保護具工業会

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日本聴力保護研究会〈Q&A〉 よくある質問

ユーザー様からいただくお問い合わせのなかでよくあるご質問をご覧いただけます。

加齢による聴力低下はどのようになっていますか。

特別な原因がなくても、たいていの人は年を取るにつれて耳の聴こえが悪くなります。老人性難聴の特徴は高い周波数の音ほど聴きにくくなり、又個人差が大きくなります。60歳位から自覚することが多いようです。

聴力保護具はどの位効果がありますか。

聴力保護具はJISで製造時の遮音値が規定されており、正しく装着することにより所定の性能を発揮することが出来ます。

遮音値とは文字通り音をさえぎる能力を示す数値です。一般に、物体が音をさえぎる現象では、周波数の高い音すなわち波長の短い音ほどよくさえぎるという性質があり、耳栓や耳覆いでも低い周波数域(波長の長い範囲)では遮音は小さく、ある周波数を超えるとよく音をさえぎるようになります。

このように耳栓や耳覆いの遮音値は音の周波数(波長)によって異なりますので、「何Hzでは何dB」というように周波数との組み合わせにて表現されます。
また、聴力保護具の遮音性能表にはNRR(Noise Reduction Rating:騒音減衰計数)値が示されているものもあります。

NRR値とは、遮音性能を簡単に表示するためにEPA(Environmental Protection Agency:米国環境保護庁)が発表している遮音性能のことで、聴力保護具を正しく装着したとき統計的に約98%の人がこの数値以上の遮音効果を得られるというものです。

例えば、騒音環境90dBの作業場の場合、遮音性能が20dBの耳栓を装着した場合、 90 - 20 = 70 dBといったようになります。

聴力保護具を有効に活用いただけば、作業環境の騒音から聴力を保護することが出来ます。

参考 JISに規定された耳栓及びイヤーマフの遮音性能

聴力保護具の種類

聴力保護具の種類は、JISにより規定され耳栓とイヤーマフ(耳覆い)に分けられ性能についても表の通りに定められています。

JIS T8161の規格
参考 販売されている耳栓の種類による遮音性能(代表値)
定期健康診断等における聴力検査はどのようなものですか。

労働安全衛生法規では、雇入時及び定期健康診断において聴力検査が規定されています。
この段階における聴力検査は、1,000 Hz及び4,000 Hzの聴力を検査するよう規定されています。この意味するところは、1,000 Hzは会話領域の代表値、4,000 Hzは高齢化に伴い早期に聴力低下が起こる音域の代表値とされていることです。

両周波数が一定の聴力障害が認められる場合には、精密検査を行う必要があります。

聴力検査にあたっては、会場の騒音が高い場合には的確な検査値が得られないことから40 dB未満が望ましいとされています。

聴力保護具はどのような作業場で使用しなければなりませんか。

労働安全衛生規則(第595条、第597条)では、等価騒音レベルが90 dB以上の屋内作業場で耳栓等の使用が規定され、85 dB以上の屋内作業場は耳栓等を使用することが指導されています。

ところが現場実態はこれが遵守されていない事業場も少なくありません。現場を拝見した中では、246作業場中48作業場が耳栓等を使用すべきところ使用していなかったというデータでした。一般的には欧米諸国では聴力保護への関心が高く、日本の労働者は関心が低いといわれていますので、このようなところでその一端が伺えます。

聴力保護具の使用前点検としてやらなければいけないことは何ですか。

規格に適合した耳栓、イヤーマフ(耳覆い)を使用することは、騒音から聴力を保護することになります。規格に適合しているかを確認することを含めて使用前点検があります。使用前点検でチェックする主な項目を次に示します。

(1)耳栓
・汚れがないか
・形くずれしていないか
(2)イヤーマフ(耳覆い)
・カップの汚れ、はがれがないか
・スプリングの変形、機能の劣化がないか
聴力保護具の正しい装着方法を教えて下さい。
(1)耳栓
・一定の形に成形された耳栓

耳栓を装着する耳の反対側の手を頭の後方から回し、耳介を後上方にひっぱり上げて外耳道を真っすぐにした状態で耳栓を挿入します。耳栓を挿入する際は、手は必ず清潔にしておきましょう。

・筒状のものを細く丸めて使用する耳栓

指で耳栓を細く丸めて、耳栓を装着する耳の反対側の手を頭の後方から回し、耳介を後上方にひっぱり上げて耳栓を入れやすくした状態で耳栓を挿入します。耳栓が膨らむまで指先で耳栓を押さえておきます。耳栓を挿入する際は、手は必ず清潔にしておきましょう。

耳栓の挿入方法

1、外耳道は一般に上図のように曲がっています。

2、耳栓を挿入する場合には、例えば右耳に挿入する時は、右手で耳栓の端を持ち、左手を頭上から回して、耳たぶの上部をつまみます。

3、左手でつまんだ耳たぶを軽く上へ引き上げます。外耳道に入れやすくなりますので、耳栓をねじ込むようにして挿入します。

4、上図は耳栓がきちんと挿入された状態です。

(2)イヤーマフ(耳覆い)
・ヘッドホンタイプ  

頭頂部のバンドをかけ、カップリングが耳全体を覆う正しい位置にくるようにスプリングを調整します。

・保護帽装着タイプ  

保護帽にイヤーマフ(耳覆い)を取り付け、スプリング部の長さを調整します。

作業場の騒音測定について教えて下さい。

85 dB以上の作業場は、6ヶ月以内ごとに1回、定期に等価騒音レベルを測定することが規定されています。この具体的な内容は、平成4年に示されている騒音障害防止についてのガイドラインを参照下さい。

測定の結果、管理区分Ⅰになった作業場は、特段の措置が必要ではないとされ、管理区分Ⅱについては「騒音の管理区分Ⅱ」の標識表示および必要に応じ耳栓等の使用する旨の表示が規定され、更に管理区分Ⅲの場合は「騒音の管理区分Ⅲ」及び「耳栓等の使用の義務」の表示が規定されています。

聴力保護具でやってはいけないことは何ですか。
(1)耳栓の洗濯、再使用  

筒状のものを細く丸めて使用する耳栓は、洗う等をしてからの再使用は原則できません。この種の耳栓は使い捨てですので、使用の都度新しいものと取替えましょう。(※再利用できるものもあります。取扱説明書を確認下さい。)

使いすぎて固くなったようなものは音を遮る効果が著しく低下するので、新しいものに取替えなければいけません。


(2)不完全な挿入

耳栓を挿入する際、中途半端な挿入では騒音が漏れこむことになり、規定通りの遮音値が得られず、長い間には聴力障害を起こすことも考えられます。騒音を遮断するためには正しい装着の方法で挿入する必要があります。

耳栓が正しく装着されているか確認する方法の1つとして、遮音効果を測定する機器(写真1)を用いる方法があります。写真1の機器は耳栓装着前と装着後の差を遮音効果として数値で表示するものです。

写真1  耳栓の遮音効果測定器
(3)外耳道炎患者の耳栓使用               

外耳道に炎症がある場合、耳栓の使用はできません。外耳道に炎症があるときはイヤーマフ(耳覆い)を使用して下さい。